
廃用症候群とは?原因と対処法!リハビリやマッサージは必要?
廃用症候群とは、安静や運動不足によって、身体の筋肉・関節・骨・心肺機能、精神機能が低下する現象のことです。特に高齢者や長期入院患者に多く見られます。普通の体力低下とは違い、「身体の機能を使わないこと」が主な原因となり、一時的にあらゆる身体・精神機能が低下することが特徴です。
廃用症候群の主な原因
主な原因は以下の通りです。
①必要以上の安静(寝たきりや入院生活)
病気やケガで寝たきりになると、筋肉・関節・心肺機能が急速に弱り、廃用症候群が発生しやすくなります。特に高齢者では、2週間の安静で筋力が約10〜15%低下するといわれています。1か月以上動かないと自力での歩行が困難になることもあります。必要以上に安静にしていると、筋力低下による歩行困難、関節のこわばりによる関節の可動範囲の減少、骨密度低下による骨粗しょう症リスクの増加などが起きる可能性があります。
②運動不足(活動量の減少)
寝たきりなどで日常の活動量が減少すると、徐々に筋力や心肺機能が低下します。特に、病後などで運動を全くしない生活が続くと、廃用症候群が徐々に進行する可能性があります。代謝の低下による肥満や生活習慣病のリスク増加、心肺機能の低下による疲れやすさが起きます。
③高齢者による加齢変化
年齢を重ねるにつれて、加齢により回復力も低下するため、一度廃用症候群になってしまうと改善が困難になることも大きな問題であるとされています。加齢により、バランス感覚の低下による転倒リスクの増加や、転倒により廃用がさらに進む、という悪循環になります。
④痛みによる運動制限
膝などの関節痛や腰痛があると、痛みのために日中の活動量が低下することが多く、廃用症候群が進行しやすくなります。さらに筋力が低下して関節痛や腰痛が悪化するという悪循環に陥ることがあります。
⑤ 精神的な関与(うつや認知症)
精神的な健康状態も廃用症候群の発生に大きく関わります。うつ病や認知症になると、活動が低下し、動かない時間が長くなるため、身体機能の低下が進みやすくなります。
普通の体力低下と廃用症候群の違い
普通の体力低下は、運動をすれば比較的回復しやすいですが、廃用症候群は「身体・精神機能低下の範囲が広く、回復が難しい」のが特徴です
普通の体力低下 | 廃用症候群 | |
原因 | 加齢、運動不足 | 長期的な安静、病気、ケガ、運動不足 |
進行スピード | ゆっくり(数ヶ月~数年) | 急速(数週間~数ヶ月) |
影響範囲 | 筋力や持久力が落ちる | 筋肉、関節、骨、心肺機能、精神機能まで影響 |
回復のしやすさ | 運動を再開すれば回復しやすい | 完全回復が難しい |
廃用症候群の状態
廃用症候群の状態は、多岐にわたりますが、その中でも代表的な、筋萎縮、関節拘縮、骨萎縮、腰痛、筋力低下について詳しく説明します。
筋萎縮
筋萎縮とは、筋肉の使用頻度が減少することで筋繊維が細くなり、筋力が低下する状態です。 特に、高齢者や長期入院をしている方に多く見られます。対処法としては、ストレッチやリハビリ、マッサージなど運動を生活の中に取り入れること、無理のない範囲で筋力トレーニングを行う(スクワットや軽いダンベル運動など)こと、栄養バランスとれた食事を意識する(特にたんぱく質を積極的に摂取する)ことです。
関節拘縮
関節拘縮とは、関節が本来の動きを失い硬くなる状態です。 長時間動かさないことで関節周囲の筋肉や靭帯が縮んだり、固くなってしまい、可動域が狭くなります。対処法としては、関節をこまめに動かすことが最も大切です。普段の生活を行うだけでも関節をある程度の範囲で動かしているものなので、普段の生活動作ができなくなると関節拘縮が起こりやすくなります。
骨萎縮
骨萎縮とは、骨密度が低下し、骨がもろくなる状態のことを言います。特に高齢者では、骨粗しょう症のリスクが高くなります。骨萎縮が進むと、ちょっとしたことで骨折しやすくなり、結果的に活動量が減るので、さらに廃用症候群が進行するという悪循環になります。
対処法としては、適度なウォーキングや体重を利用した運動(スクワットなど)を行い、骨に適度な負荷を与えることです。また、カルシウム・ビタミンDを含む食品を積極的に摂る(乳製品、小魚、日光浴)ことも有効です。骨の状態は自分では分かりにくいため、骨密度検査を定期的に受け、初期対策を行うことも大切です。
腰痛
廃用症候群により筋肉が衰え、関節の可動域が狭まります。これにより、腰椎への負担が増加し、腰痛が発生しやすくなります。寝たきりの状態では、猫背や側弯になりがちです。これも腰部に過度な負荷をかけ、痛みの原因となります。さらに、長時間同じ姿勢でいると血行が悪くなり、筋肉や組織への栄養供給が滞ります。その結果、筋肉の緊張や疲労が蓄積し、腰痛を悪化させます。対処法としては、定期的な体位変換や適切な寝具、温熱療法の他、血流促進のためにマッサージや拘縮予防にストレッチや他動的な関節運動も有効です。
筋力低下
筋力低下は、廃用症候群の代表的な状態の一つで、日常生活の動作が困難になる原因になります。現代人は便利になった反面、運動不足が慢性化しており年齢を重ねると筋力低下が顕著になります。40歳頃から筋力低下が進行していくといわれているので、筋力トレーニングなどを習慣化しておくことが大切です。普段から、エレベーターの代わりに階段を使う、近所の買い物は歩いて行くなどの工夫も大切です。
廃用症候群のある方へのマッサージで期待できる効果
廃用症候群のある方に、そう快ケアで行っているマッサージやストレッチなどの徒手療法、運動療法、鍼灸(接触鍼含む)などを行うことで以下の効果やメリットがあります。
関節拘縮の予防・改善
マッサージや運動療法、徒手療法は、筋肉や関節の柔軟性を向上させ、関節拘縮を予防・改善する効果があります。関節の動きがスムーズになった後に、効果的なリハビリや運動を行うことで、運動効果を最大限引き出すことができ、機能的な回復を早めることができます。
血行促進・褥瘡(床ずれ)の予防
マッサージによって血行が促進されることで、組織への酸素や栄養の供給が十分に行われ、老廃物が除去されやすくなります。これにより、皮膚や皮下組織の健康が維持され、褥瘡の発生を予防することができます。マッサージは、皮膚の柔軟性を高める効果もあります。柔軟性が向上することで、圧迫された際の組織の歪みが軽減され、褥瘡のリスクを低減することができます。また、リンパの流れも良くなり浮腫みの改善や免疫力向上も期待できます。
精神的なリラックス効果
マッサージなどで皮膚に心地よい刺激を受けると、刺激が神経と脊髄を伝わり、脳が反応します。それにより愛情ホルモンと呼ばれる「オキシトシン」や、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」というホルモンが分泌され、血流にのって全身へと運ばれていきます。(※1)皮膚への刺激によって分泌されるこの2つのホルモンの働きにより、深い精神的なリラックス効果があります。
訪問マッサージのメリット
廃用症候群の方の中には、病院に通うのが難しい方もいらっしゃいます。訪問マッサージでは、患者様の状態に合わせて、住み慣れた場所で施術を行うことができるため、安心して利用することができます。
- ご高齢者のお一人暮らしで定期的な「見守り」が必要である
- 他者とのコミュニケーションや刺激による脳の活性化を図りたい
- 認知症を予防したい
- 理学療法や作業療法などの枠だけではリハビリが足りない
などのご希望・ご要望がある方は、ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
◆他社様の訪問鍼灸マッサージサービスを継続中でも『無料体験』可能です。